デービッド・アトキンソン『日本人の勝算』の要約と読んだ感想【日本活性化への処方箋は?】

読んで良かった本

今回は、デービッド・アトキンソンの『日本人の勝算―人口減少×高齢化×資本主義』を読みましたので、要約します。

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内容としては、人口減少・高齢化が世界で最も深刻な日本社会が、再び世界の舞台で復活するために必要な抜本的処置を提示するものです。

オススメ度 7/10

だび
だび

生産性を高めるという観点で、さまざまなデータとの相関関係から日本に必要な政策を検討しています。

わかりやすさという点で相関を見せるのはいいのですが、果たしてどの程度信頼性が高いのかはやや疑問な点があります。

この本の章立てについて

章立ては次の通りです。

第1章 人口減少を直視せよ――今という「最後のチャンス」を逃すな
第2章 資本主義をアップデートせよ――「高付加価値・高所得経済」への転換
第3章 海外市場を目指せ――日本は「輸出できるもの」の宝庫だ
第4章 企業規模を拡大せよ――「日本人の底力」は大企業でこそ生きる
第5章 最低賃金を引き上げよ――「正当な評価」は人を動かす
第6章 生産性を高めよ――日本は「賃上げショック」で生まれ変わる
第7章 人材育成トレーニングを「強制」せよ――「大人の学び」は制度で増やせる

著者のデービッド・アトキンソンについて

※アマゾンの著者紹介欄からの抜粋

小西美術工藝社社長
1965年イギリス生まれ。日本在住30年。

1992年ゴールドマン・サックス入社。
金融調査室長として日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。
2006年に共同出資者となるが、マネーゲームを達観するに至り2007年に退社。
2009年創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社、2011年同会長兼社長に就任。2017年から日本政府観光局特別顧問を務める。

『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(山本七平賞、不動産協会賞受賞)『新・所得倍増論』『新・生産性立国論』(いずれも東洋経済新報社)など著書多数。

この本をオススメしたい人

  • 日本の将来はなんとなく暗いと思っている人
  • 日本を何とかしたい人
  • 現在の日本の政策に疑問を持っている人
  • 日本と海外との違いを知りたい人
  • 日本の政治や経済、政策について勉強したい人

この本の概要は?

世界でもトップで人口減少・高齢化というパラダイムシフトが起こっている日本社会ですが、くい止めるための政策は小手先ばかりのものになっています。

より大胆な政策を取ることによって、世界の見本になる社会にすべきだと主張します。

筆者は大胆な政策として、主に4つのことを提言しています。

  1. 高生産性・高所得資本主義にすること
  2. 企業の規模を拡大すること
  3. 最低賃金を引き上げること
  4. 社会人の再教育を義務化すること

高生産性・高所得資本主義にすること

日本の戦後の成長は、ほとんど人口要因であって、生産性は常に低かったと言います。

日本経済(GDP)は現在世界3位ですが、生産性は28位で、改善する余地が大きく残されています。

これまでは、「いいものをより安く」という考えでいましたが、「よりいいものをより高く」という考えに方針転換すべきなのです。

その中で、日本企業は輸出が十分ではないと筆者は主張。

生産性と輸出には強い相関関係があります。
生産性を高め、輸出をするような企業を増やしていかなければなりません。

企業の規模を拡大すること

日本の生産性が低い最大の要因の1つが、「小規模企業に勤める労働者の多さ」だと言います。

先進国の場合、小規模企業に勤める労働者の比率と生産性の相関は0.93と高いのです。

日本では、全体のほとんどを占める中小企業に光を当てるドラマもそうですし、安倍総理のコロナウイルス関係での演説においても中小企業が日本を支えていると言っています。

しかし、中小企業が多すぎることが問題で、企業の規模を拡大する方がメリットが大きいのです。

著者は、企業統合を促進させる政策をすべきだと言います。

最低賃金を引き上げること

最低賃金も生産性に強い相関があります。(相関係数は0.84)

最低賃金を引き上げることのメリットは、消費者の所得を増やすことに限らず、生産性の低い企業の息の根を止めること、生産性の向上を強制させることなどにあります。

経営者が利益を確保するには、最低賃金の引き上げに対抗して個々の生産性を上げる努力をしなければなりません。

経営者には、刺激次第で企業の支払い能力が変えられるという発想に欠けています。

また、日本の最低賃金制度が都道府県別であることを批判。アメリカは州ごとでそれをベースとするのかもしれませんが、世界的には全国統一なのが標準です。

各都道府県で最低賃金が違うことで、東京などの都心に人が集まる要因になっており地域間格差が広がるのです。

社会人の再教育を義務化すること

新しい技術を導入して活用するためには、経営者も労働者も勉強が欠かせません。

しかし、日本は大学卒業後に、まともに勉強をし直す機会が与えられていません

出口さんの本などでも指摘されていますが、世界標準からすれば日本は低学歴社会です。
他国のトップエグゼクティブは、大学院卒が当たり前の中、大学卒業後は企業に勤めるばかりで、再教育を受ける人が少なすぎます。

すべての企業が勉強させる機会を与えることで、生産性を高めさせます。

イギリスは全企業に社員トレーニングを強制させていると言います。

なぜ全員かというと、任意性にすると、生産性の高い層はトレーニングでさらに生産性が高まる一方で、低い層はトレーニングを受ける率が低く、生産性が上がりません
つまり、さらなる格差が広がると言います。

まとめ:日本の生産性を向上させるためには

日本が世界で活躍するためには、大胆な変革しなければなりません。

そのためのポイントは、次の4つ。

  1. 高生産性・高所得資本主義にすること
  2. 企業の規模を拡大すること
  3. 最低賃金を引き上げること
  4. 社会人の再教育を義務化すること

所感

筆者の議論の正確性は、何とも言えないところがあります。

生産性向上との因果関係がはっきりしていない(相関に過ぎない)議論のため、注意が必要だと思います。

しかし、実行の有無は置いて、中小企業の規模を拡大させること、最低賃金を全国統一にすべきであることは、面白い案であると感じました。

特に、日本では「下町ロケット」などのドラマの影響などもあって、中小企業信仰がありますが、改めて考えるべきなのは事実。

だび
だび

「公益財団法人 日本生産性本部」という組織が存在することが最大の発見かもしれません笑

いかにも生産性の向上からかけ離れている組織です。

中小企業の生産性問題に関しては、『日本でいちばん大切にしたい会社』がまた別の角度から具体的事例を用いて説明していて参考になります。

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