2020年9月に読んで良かったと思える本を3つ紹介します。
9月は13冊の本を読みました。
日本の10大新宗教
キンドル版がセールで数百円で売っていたので購入してみました。
基本情報
創価学会や天理教、生長の家といったよく聞く宗教団体を含め、現代の日本で一定の信者を獲得し、社会的なインパクトを与えた新宗教を10個解説しています。
どういった経過で新宗教が生まれ、教えや活動の実態を比較的淡々と説明しています。
それぞれの宗教の創設者や実力者が、実は以前別の宗教団体に所属していたり、けっこう渡り歩いている人が少なくありません。
だいたいどの宗教も日本の急速な都市化によって、苦しみを抱えた人たちにとっての救いを与えることを目的としており、時代が新宗教を生み出していたことがわかります。
甲子園は新宗教の学園だらけ
個人的に面白かったのは、全国の私立高校の約3分の1が宗教団体を経営母体としていること。
そのうち6割はキリスト教系、仏教系はキリスト教系の半分、神道系はごくわずか、新宗教系は20校ほど。
しかし、高校野球に限っては、新宗教系の高校の活躍が多いのです。
天理高校、PL学園、創価高校、佼成学園、智弁学園、智弁和歌山などだそうです。
PL学園がPL教団という新宗教の学校だったというのは、全く知らず驚きました!
智弁学園、智弁和歌山は辯天宗を母体にしているそうです。
この本を読むことで、意外なところで新宗教が存在していることを知ります。
個人的にはこういった新宗教などは信じていませんが、フラットな目線で判断できるようにするためにも読んで損はないです。
武器としての「資本論」
最近、資本論関係の解説書を読んでいる中で、見つけた本。
入門書としての入りやすさで言えば、ベストだと思います。
基本情報
いつかマルクスの資本論を読まないとなーと思いつつ、超難解なため、まずどんな内容なのかざっくりとした解説をする本としては、非常に入りやすいです。
解説書自体が難解で頭に入ってこないものも多いのですが、これは身近な例を挙げて説明しているため入りやすい。
資本主義社会への批判的に見つめ直すこととなります。
自分の労働行為は資本主義において商品であり、労働によって形成される価値は労働力の勝ちよりも大きいので剰余価値が生産されるなど面白い観点だなと思いました。
読むのは前半部分だけでいいかも
良い解説書だと思いますが、後半からはけっこう筆者の思想が色濃く伺える内容になっていて、個人的にはちょっと・・・という感じ。
資本論の概要は前半部分が中心なので、後半はさらっと読んでしまいました。
そして、読んだ後になりますが、なんか筆者の名前を最近見ている気がしてネットで調べたら、あのユーミン発言がありました。
悪い意味で名が知れてしまったようです。
それでもこの本自体は読む価値があるものだと思いますよ。
一人称単数
村上春樹の新作短編小説集です。
村上春樹の本は出たら必ず買います。
基本情報
入っている作品は、8つです。
- 「石のまくらに」
- 「クリーム」
- 「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」
- 「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」
- 「『ヤクルト・スワローズ詩集』」
- 「謝肉祭(Carnaval)」
- 「品川猿の告白」
- 「一人称単数」
どれもいかにも村上春樹って感じの内容です。
小説という形になっていますが、実体験を元にしたと思わせる作品ばかりでした。
そういう意味でも同じような時期に発売された『猫を棄てる 父親について語るとき』とも少し被る部分もあったかなと。
(こちらは完全に実体験)
ヤクルトスワローズ詩集がお気に入り
ラストの一人称単数形が象徴的ですが、いずれも偶然の選択が今の自分を作り上げているというのが本書のテーマなのかなと思いました。
その中では、ちょっと異質な作品になりますが。「ヤクルトスワローズ詩集」が僕のお気に入りでした。
ヤクルトスワローズ詩集(架空の作品です)というものを村上春樹が自費出版したというストーリーを元にしています。
さえないプレーへの皮肉、負けてばかりいるチーム、それでもなぜか神宮球場に足を運んでしまう。
スポーツの不思議な魅力を言語化してくれて嬉しくなりました。
なんでほとんど負けているようなチームを応援しているのか、そのファン心理ってわかるんですよねー。
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