今回は、近代マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラーが書いた『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』の概要と感想をまとめます。
タイトルに「4.0」とあるように『コトラーのマーケティング3.0―ソーシャル・メディア時代の新法則』をバージョンアップした形で、デジタル新時代におけるマーケティングの極意を記しています。
オススメ度 8/10
SNSやブログを使ってのマーケティングにもすぐ応用できます。
現在のマーケティングスタンダードを知る意味で、読んで損はない本でしょう。
著者のコトラーについて
ノースウェスタン大学ケロッグスクールオブ・マネジメント教授で、これまでに50冊以上の著作と150を超える論文を著しています。
特に、マーケティングのバイブルといわれる 『Marketing Management』(1967) は現在15版を重ねる名著です。
これまでの数々の業績から「近代マーケティングの父」と呼ばれるマーケティング会の巨匠です。
これまでのマーケティングとは?
マーケティング4.0以前
このような流れの中で4.0とは、「企業と顧客のオンライン交流とオフライン交流を一体化させるマーケティングアプローチ」です。
デジタル新時代のマーケティングとは?
この本は、3部構成になっています。
1部 マーケティングを形づくる基本的なトレンド
2部 デジタル経済におけるマーケティングの新しいフレームワーク
3部 デジタル経済におけるマーケティングの戦術的応用
1部 マーケティングを形づくる基本的なトレンド
デジタル時代は、権力構造が縦から横に移っています。
つまり、これまでは個々にパワーがありましたが、パワーはコミュニティ(Fファクターと言われるような友達、家族、フォロワー)に移っているのです。
よって、マーケティングは他者を支配するのではなく、どう顧客コミュニティと繋がって協力し合える体制を作れるか、これが高い競争力を維持する要因です。
キーワードは、「接続性」
接続性をよりよい状態にするには、常にマーケティングを深化させる必要があります。
これまではオフラインのみだった企業(スーパーなど)、逆にオンラインのみだった企業(アマゾンなど)も、それだけではダメです。
カスタマージャーニー(顧客が、購入から商品、サービスの推奨に達までの道筋)を作って顧客はどのような行動をするのかその変化を徹底的に想像しなければなりません。
オフラインとオンラインを融合し、シームレスな形にすることで、顧客が逃げないようすき間を埋めていくことが求められます。
2部 デジタル経済におけるマーケティングの新しいフレームワーク
マーケティングの究極の目標は、「顧客を感動させ、忠実な推奨者にすること」に尽きます。
そのためのフレームワークとして、4Aが言われていましたが、コトラーは5Aにすべきだと言います。
5Aとは、
- 認知(aware)
- 訴求(appeal)
- 調査(ask)
- 行動(act)
- 推奨(advocate)
マーケティングによって、最初のAの「認知」から最後の「推奨」まで障害なく持っていくことが使命になります。
ブランドを魅力的にするためには、デジタル時代こそ人間らしさのあるブランドである必要があると指摘。
人間らしさがあることによって、人は惹きつけられ、単なる購入者ではなく、広告いらずの推奨者として勝手にSNSなどで製品の良さを広めてくれます。
3部 デジタル経済におけるマーケティングの戦術的応用
人間らしさのあるブランドとしては、6つの特徴があります。
- 身体的魅力
- 知性
- 社交性
- 感情性
- パーソナビリティ(人間力)
- 道徳性
デジタル時代は、何が1番希少な資源かというと、「時間」です。
顧客が面倒だ、煩わしいと思うような障害を作らないような「オムニチャネル・マーケティング」が求められます。
それは、さまざまなチャネルを統合して、シームレスで一貫性のある顧客経験を生み出す手法と定義されます。
YouTubeの広告などもそうですが、広告は目につかなければすぐに飛ばされます。5秒間でインパクトを残し、ノンストップで顧客を行動へと移すための仕組みが必要です。
この本をオススメしたい人
まとめ:デジタル時代のマーケティングのあり方
デジタル化することで、逆説的に人間的な要素を備えているマーケティングが重要になります。
顧客は一瞬で興味を失う傾向が強まっていることから、注意をいかに惹きつけるかしっかりとしたカスタマージャーニーを作り上げることが必要です。
また、顧客が逃げないようにオンラインとオフラインのすき間を埋め、シームレスなマーケットを作り上げることが必要になります。
マーケティングのステップとしては、「5A」で示され、特にSNSなどで勝手に広告してくれる「推奨者」を作ることがマーケティングの使命。
そのためには、ブランディングとして人間中心を忘れず、顧客が常に繋がって一緒に育っていくような手法が望ましいのです。
YouTubeの広告でスキップしにくいのは、ストーリーと人間の顔と何らかのアニメーションを含んでいる場合だそうです。
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