【書評】『ザッポスの奇跡(改訂版)~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』の概要と読んだ感想

読んで良かった本

今回は、石塚しのぶ氏の『ザッポスの奇跡(改訂版)~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』を読んだので、概要と読んだ感想をまとめます。

「ザッポス」とは、アメリカにある靴を中心としたアパレル関連のネット通販会社です。
あのアマゾンが喉から手が出るほどほしかった会社で、2009年7月からアマゾンの傘下に入っています。

徹底した顧客サービスの会社として知られていますが、なぜそのような会社になったのか、どのようなことが大切にされているかなどを詳しく解説しています。

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オススメ度 7/10

だび
だび

ザッポスの企業理念や行動をすべて日本で取り入れることは困難でしょう。

しかし、部分的にエッセンスを取り入れられれば、年功序列制度などに基づく旧態の体制をうまく変革できるかも?と可能性を感じました。

この本の章立てについて

第1章【ザッポスとはどんな会社か?】 流通におけるサービス革新

第2章【ザッポスのサービス】 従来のサービスを超える企業

第3章【ザッポスの企業文化】 感動サービスを育むコア・バリュー

第4章【ザッポスの経営戦略】 人を最大の資源と考える企業文化

第5章【ザッポスが育む「人」】 「個」を活かして強みをつくる

第6章【ザッポスから学ぶべきこと】 自社に取り入れたいサービス、そして制度

第7章【ザッポスから学ぶリーダーの心得】 リーダーは飾らず率先して、部下と顧客に仕する!

第8章【ザッポスの飽くなき挑戦】 アマゾンによる買収、そしてザッポスの今後

著者の「石塚しのぶ」氏について

※アマゾンの著者紹介から抜粋

日米間ビジネス・コンサルタント、Dyna‐Search,Inc.(ダイナ・サーチ・インク)代表取締役。

南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。

その後、コニックスバーグ・インストゥルメント社(カリフォルニア州パサデナ市)にて、NASAプロジェクトのプログラム・マネージャーを担当、プロジェクト・マネージメントのスペシャリストとして経験を積む。

トニー・シェイに多くのインタビューをするなどして、ザッポスを緻密に研究。

この本をおすすめしたい人

  • 企業の人事担当者
  • 顧客サービスに関して悩んでいる人
  • リーダーのあり方を学びたい人
  • 組織改革を目指している人
  • 企業理念に関して知りたい人

『ザッポスの奇跡』の概要

設立10年足らずで、年商1,000億円を突破し、アメリカのネット靴通販市場において、約30%のシェアを獲得。

そればかりではなく、2009年には、『米国最も働きたい会社ベスト100』の23位(初登場)に輝き、翌2010年には、15位にランクアップ。社員と顧客に熱烈に愛される会社、ザッポス。

リピート顧客率75%。新規顧客の43%が口コミによる獲得など、さまざまな記録を塗り替え、米国小売業協会により、「2010年最も革新的なリテーラー」に選ばれるなど、業界でも高い評価を受けています。

この本は、アマゾンが買収した靴のネット通販会社「ザッポス」という企業の特徴を詳細に記しています。

サービスの提供こそが価値である

ネット販売など販売業の価値は、ものを売ることにあると思われがちです。
「売ること」が本業で、「サービス」は付加価値と思われています。

しかし、ザッポスの考えは、小売販売業であってもサービスこそが最大の価値であるとしています。

ですので、売上の95%はネットを通じて販売されますが、売上のわずか5%である電話対応をザッポスの優れたサービスを提供する絶好の機会と捉えます。


コンタクトセンターの電話対応について、CEOのトニーは次のように言っています。

「コンタクトセンターの電話対応は、むしろ、またとないブランディング機会だと考えています。顧客が5分、あるいは 10 分間というまとまった時間に、何にも邪魔されずに私たちの言うことに神経を集中して耳を傾けてくれる、そんなチャンスが他にありますか?」

どの顧客も、何らかの理由で必ず一度は電話をかけてくるので、そのチャンスを掴み、徹底したサービスを提供することによって、すべての人をザッポスのトリコにすることを目指します。

社員の「個」と会社の「仕組み」がザッポスを強くした

ザッポスの最大の特徴は、採用を始めとした人事部門への圧倒的な信頼と、企業文化の徹底です。

優れたサービスを提供するには、優れた個が社内にいることと、優れた個が力を発揮できる仕組みであること。
考えてみれば当たり前のことに思いますが、このための努力と工夫が普通でないのです。

じっくり時間をかけて採用して、会社に合わない人は即解雇

まず、「個」に関しては、顧客の心をゆり動かすサービスは、あくまで、「人と人」のつながりから生まれることだとザッポスは信じています。

そのためには、あらゆる手法でザッポスに合う人を探さなければなりません。

ザッポスに入社するハードルは、ハーバード大に入るより困難と言われます。
CEOが連れてきた人であっても社内研修を平社員と同様に受け、人事部門がザッポスに合わないと判断すれば、採用を拒否できます。

ザッポスの人事手法とは、「じっくり時間をかけて採用して、会社に合わない人は即解雇する」ということ。

無事入社しても、入ってみたらイメージと違った・・・。なんてことがあってダラダラと居続けても企業・本人ともに得られるものはありません。

アメリカのある調査によると、離職が会社にもたらす経済的損失は、職種や役職によって開きがあるものの、その社員の年俸の半分から最高で4倍にもあたるといいます。

ザッポスは入社後、一定の期間に退職する場合には、なんと一時金を与えています。
企業文化に合わない人は、すぐに出ていけるようなインセンティブを設定しています。

ザッポスの企業文化

ザッポスは「企業文化」を前面にすえ、すべてはそこから始まると言っています。

社員一人ひとりの考え方や生き方、行動のなかに企業文化を浸透させて、サービスの現場などで、選択や判断の物差しとして使われることを目指します。

そのために、会社内での仕掛け、チームでの仕掛けを作り、「ザッポスは常に楽しいことをする、誰かを喜ばせたい会社なんだ」と思わせるようにしています。

まとめ:個々の社員の力をすべて足したもの=企業力

ザッポスにとって、靴を販売することは小さなことなのかもしれません。
顧客を喜ばせる手段として「靴」にフォーカスしているように思いますが、大切なのは「靴でなくても一人ひとりの顧客が喜ぶことを社員は考えるべき」だということ

そんな社員が育つには、ザッポスとはどんな会社であるべきなのかを追求し、日頃からありたい姿を実践すること

そして、ザッポスの文化に合う人だけを選抜し、合わない人は即切ること。

このようにして、企業の基盤を作ります。

ザッポスの場合、突出して優れた一人が必要ではなく、優れた一人ひとりの結合が大切なのです。

一人が100のアイディアを出すよりも、20人が10のアイディアを出すほうがいいという考えなのです。


ザッポスの企業文化は独特な面がありますが、社員・顧客を大切にすることでは、先日紹介した『日本でいちばん大切にしたい会社』に近いところがあります。

もともとの日本企業が持っていた社員を家族のように扱って大切に育てること、企業は社会の一部なんだということこの辺のエッセンスは似ているように思います。

では違いが何かと考えると、企業風土の徹底的追求のための人事部門の権限の強さ、人材の流動性(即解雇できる)なんでしょうかね。

ザッポスの特徴を読むことによって、自分の会社に足りてない部分がどこなのかを知ることができるのではないでしょうか。

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